Zend_Service_ReCaptcha(日本語)

導入

Zend_Service_ReCaptchareCAPTCHA Web Service 用のクライアントです。reCAPTCHA のサイトによると、 "reCAPTCHA is a free CAPTCHA service that helps to digitize books (reCAPTCHA はフリーな CAPTCHA サービスで、 書籍の電子化を支援しています)" とのことです。 reCAPTCHA は、ユーザにふたつの単語を入力させます。 ひとつは実際の CAPTCHA で、もうひとつはスキャンされたテキスト (OCR ソフトウェアで認識できないもの) の単語です。 ユーザが最初の単語を正しく入力したら、 おそらく 2 番目の単語も正しく入力してくれるものとみなせます。 その入力内容を使って、OCR ソフトウェアの能力を向上させるわけです。

reCAPTCHA サービスを使用するには、アカウントのサインアップ が必要です。また公開鍵と秘密鍵を作成するには、 サービスを使用するドメインを登録しなければなりません。

単純な使用法

Zend_Service_ReCaptcha オブジェクトのインスタンスを作成し、 公開鍵と秘密鍵を渡します。

例806 reCAPTCHA サービスのインスタンスの作成

$recaptcha = new Zend_Service_ReCaptcha($pubKey, $privKey);

reCAPTCHA をレンダリングするには、 getHTML() メソッドをコールするだけです。

例807 reCAPTCHA の表示

echo $recaptcha->getHTML();

フォームから送信されてきた内容のうち、 'recaptcha_challenge_field' と 'recaptcha_response_field' のふたつのフィールドの内容を受け取らなければなりません。 これらを、reCAPTCHA オブジェクトの verify() メソッドに渡します。

例808 フォームフィールドの検証

$result = $recaptcha->verify(
    $_POST['recaptcha_challenge_field'],
    $_POST['recaptcha_response_field']
);

結果が得られたら、正しいものだったかどうかを確認します。結果は Zend_Service_ReCaptcha_Response オブジェクトとなり、 このオブジェクトは isValid() メソッドを提供しています。

例809 reCAPTCHA の検証

if (!$result->isValid()) {
    // 検証に失敗
}

reCAPTCHA Zend_Captcha アダプタを使うか、そのアダプタを CAPTCHA フォーム要素 のバックエンドとして使うことがもっと簡単です。 どちらの場合でも、reCAPTCHA のレンダリングや検証は自動化されます。

メールアドレスの隠蔽

Zend_Service_ReCaptcha_MailHide を使うと、 メールアドレスを隠蔽できます。メールアドレスの一部分を、 reCAPTCHA チャレンジのポップアップウィンドウに置き換えます。 チャレンジを解決すると、完全なメールアドレスがあらわれるというわけです。

このコンポーネントを使うには、 mailhide API 用の公開キーと秘密キーを生成するための アカウント が必要です。

例810 mail hide コンポーネントの使用法

// 隠したいメールアドレス
$mail = 'mail@example.com';

// mailhide コンポーネントのインスタンスを作成し、公開キーと秘密キー
// そして隠したいメールアドレスを渡します
$mailHide = new Zend_Service_ReCaptcha_MailHide();
$mailHide->setPublicKey($pubKey);
$mailHide->setPrivateKey($privKey);
$mailHide->setEmail($mail);

// 表示します
print($mailHide);

上の例の表示は "m...@example.com" のようになり、 "..." のリンクは reCAPTCHA チャレンジのポップアップウィンドウを表示します。

公開キーと秘密キーそしてメールアドレスは、クラスのコンストラクタで指定することもできます。 4 番目の引数も存在し、ここでコンポーネントのオプションを設定できます。 使用できるオプションは次の表のとおりです。

表154 Zend_Service_ReCaptcha_MailHide のオプション

オプション 説明 期待する値 デフォルト値
linkTitle リンクの title 属性 文字列 'Reveal this e-mail address'
linkHiddenText ポップアップリンクを含める文字列 文字列 '...'
popupWidth ポップアップウィンドウの幅 int 500
popupHeight ポップアップウィンドウの高さ int 300


オプションの設定は、コンストラクタの 4 番目の引数で指定する以外にも setOptions($options) メソッドで行うこともできます。 このメソッドには、連想配列あるいは Zend_Config のインスタンスを渡します。

例811 多数の隠しメールアドレスの作成

// mailhide コンポーネントのインスタンスを作成し、公開キーと秘密キー
// そして隠したいメールアドレスを渡します
$mailHide = new Zend_Service_ReCaptcha_MailHide();
$mailHide->setPublicKey($pubKey);
$mailHide->setPrivateKey($privKey);
$mailHide->setOptions(array(
    'linkTitle' => 'Click me',
    'linkHiddenText' => '+++++',
));

// 隠したいメールアドレス
$mailAddresses = array(
    'mail@example.com',
    'johndoe@example.com',
    'janedoe@example.com',
);

foreach ($mailAddresses as $mail) {
    $mailHide->setEmail($mail);
    print($mailHide);
}