Zend_Layout の使用法は大きくふたつに分けられます。
Zend Framework の MVC を使用する方法とそれ以外の方法です。
どちらにしても、まずはレイアウトスクリプトを作成しなければなりません。
レイアウトスクリプトは、単純に Zend_View
(あるいはその他のあなたが使用しているビュー実装) を用いて作成します。
レイアウト変数の登録には Zend_Layout の
プレースホルダ
を使用します。プレースホルダへのアクセスは、
プレースホルダヘルパーを使用するか、
あるいはレイアウトヘルパーのレイアウトオブジェクトのプロパティを使用します。
たとえばこのようになります。
<!DOCTYPE html
PUBLIC "-//W3C//DTD XHTML 1.0 Transitional//EN"
"http://www.w3.org/TR/xhtml1/DTD/xhtml1-transitional.dtd">
<html>
<head>
<meta http-equiv="Content-Type" content="text/html; charset=utf-8" />
<title>私のサイト</title>
</head>
<body>
<?php
// レイアウトヘルパーで使用するコンテンツのキーを取得します
echo $this->layout()->content;
// プレースホルダヘルパーで 'foo' キーを取得します
echo $this->placeholder('Zend_Layout')->foo;
// レイアウトオブジェクトを取得し、そこから変数のキーを取得します
$layout = $this->layout();
echo $layout->bar;
echo $layout->baz;
?>
</body>
</html>
Zend_Layout は Zend_View
を用いてレンダリングをしているので、
登録されているビューヘルパーはすべて使用できます。
またビューに登録されている変数も使用できます。
特に便利なのは、さまざまな プレースホルダヘルパー
を使用できることでしょう。
これらを用いると、たとえば <head>
セクションやナビゲーション部などのコンテンツを取得できます。
<!DOCTYPE html
PUBLIC "-//W3C//DTD XHTML 1.0 Transitional//EN"
"http://www.w3.org/TR/xhtml1/DTD/xhtml1-transitional.dtd">
<html>
<head>
<meta http-equiv="Content-Type" content="text/html; charset=utf-8" />
<?php echo $this->headTitle() ?>
<?php echo $this->headScript() ?>
<?php echo $this->headStyle() ?>
</head>
<body>
<?php echo $this->render('header.phtml') ?>
<div id="nav"><?php echo $this->placeholder('nav') ?></div>
<div id="content"><?php echo $this->layout()->content ?></div>
<?php echo $this->render('footer.phtml') ?>
</body>
</html>
Zend_Controller には拡張用の機能が豊富に用意されています。
これは フロントコントローラ
プラグイン や アクションコントローラ
ヘルパー によって実現されているものです。
Zend_View にも ヘルパー は存在します。
Zend_Layout を MVC コンポーネントとともに使用すると、
これらのさまざまな拡張ポイントの恩恵を受けることになります。
Zend_Layout::startMvc() は、オプションの設定項目を指定して
Zend_Layout のインスタンスを作成します。
そして、フロントコントローラプラグインを登録し、
ディスパッチループの終了後にレイアウトの中身をレンダリングするようにします。
また、アクションヘルパーを登録して、
アクションコントローラからレイアウトオブジェクトにアクセスできるようにします。
さらに、ビュースクリプトからレイアウトのインスタンスを取得するには
Layout ビューヘルパーを使用します。
まずは、MVC と組み合わせるための Zend_Layout
のインスタンスの作成方法を見てみましょう。
// 起動ファイル内で Zend_Layout::startMvc();
startMvc() には、オプションの配列あるいは
Zend_Config オブジェクトを渡すことができます。
これによってインスタンスをカスタマイズします。
オプションの詳細については この節
を参照ください。
アクションコントローラからは、 アクションヘルパーでレイアウトのインスタンスにアクセスします。
class FooController extends Zend_Controller_Action
{
public function barAction()
{
// このアクションではレイアウトを無効にします
$this->_helper->layout->disableLayout();
}
public function bazAction()
{
// このアクションでは別のレイアウトスクリプトを使用します
$this->_helper->layout->setLayout('foobaz');
};
}
ビュースクリプトでは、Layout
ビューヘルパーを用いてレイアウトオブジェクトにアクセスします。
このビューヘルパーは、他のヘルパーとは異なり引数を受け取りません。
そして文字列ではなくオブジェクトを返します。
これにより、レイアウトオブジェクトのメソッドをすぐにコールできるようになります。
<?php $this->layout()->setLayout('foo'); // 別のレイアウトを設定します ?>
MVC に登録した Zend_Layout
のインスタンスを取得するには、静的メソッド
getMvcInstance() を使用します。
// startMvc() がまだコールされていない場合は null を返します $layout = Zend_Layout::getMvcInstance();
最後に、Zend_Layout
のフロントコントローラプラグインが持つ、
レイアウトのレンダリング以外の重要な機能をひとつ紹介します。
レスポンスオブジェクトから名前つきセグメントをすべて取得し、
それをレイアウトの変数に代入するというものです。
このとき 'default' セグメントは 'content' という名前の変数に代入します。
これにより、アプリケーションのコンテンツにアクセスして
それをビュースクリプト内でレンダリングできるようになります。
たとえば、こんな例を考えてみましょう。あなたの書いたコードがまず
FooController::indexAction() を実行し、
デフォルトのレスポンスセグメントに何らかのコンテンツをレンダリングしてから
NavController::menuAction() に転送します。
ここでは、レンダリングしたコンテンツをレスポンスセグメント
'nav' に格納します。最後に
CommentController::fetchAction()
に転送してコメントを取得しますが、その内容はデフォルトのレスポンスセグメントに
(追記する方式で) レンダリングします。
そして、ビュースクリプト側ではそれを個別にレンダリングします。
<body>
<!-- /nav/menu のレンダリング -->
<div id="nav"><?php echo $this->layout()->nav ?></div>
<!-- /foo/index + /comment/fetch のレンダリング -->
<div id="content"><?php echo $this->layout()->content ?></div>
</body>
この機能は、ActionStack アクションヘルパー や プラグイン と組み合わせて使うと非常に便利です。 アクションのスタックを作成してそれをループさせ、 ウィジェット形式のページを作成するというわけです。
単体のコンポーネントとして使用した場合は、Zend_Layout
を MVC に組み込んだ場合に使用できる機能のほとんどが使えなくなります。
しかし、それでも次のふたつのメリットがあります。
レイアウト変数のスコープの管理。
レイアウトビュースクリプトとその他のビュースクリプトの分離。
単体のコンポーネントとして使用するには、 単純にレイアウトオブジェクトのインスタンスを作成して 各種アクセサで状態を設定し、 オブジェクトのプロパティに変数を設定してから レイアウトをレンダリングします。
$layout = new Zend_Layout();
// レイアウトスクリプトのパスを設定します
$layout->setLayoutPath('/path/to/layouts');
// 変数を設定します
$layout->content = $content;
$layout->nav = $nav;
// 別のレイアウトスクリプトを選択します
$layout->setLayout('foo');
// 最終的なレイアウトをレンダリングします
echo $layout->render();