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Google Data API は、Google のオンラインサービスに対するプログラマ向けのインターフェイスです。
Google data Protocol は
Atom Publishing Protocol
に基づいており、クライアントアプリケーションからのデータの問い合わせ、
データの投稿、更新、削除などを標準の HTTP
と Atom syndication formation で行います。
Zend_Gdata コンポーネントは PHP 5 用のインターフェイスで、Google Data
に PHP からアクセスするためのものです。
Zend_Gdata コンポーネントは、Atom Publishing Protocol
を実装したその他のサービスへのアクセスもサポートしています。
Google Data API についての詳細な情報は http://code.google.com/apis/gdata/ を参照ください。
Zend_Gdata でアクセスできるサービスには次のようなものがあります。
-
Google Calendar は、オンラインカレンダーアプリケーションです。
-
Google Spreadsheets は、オンラインで共同作業を行えるスプレッドシートツールです。 アプリケーションで使用するデータの保存場所としても使用できます。
-
Google Documents List は、その Google アカウントに保存されているすべてのスプレッドシートやワープロ文書、 プレゼンテーションの一覧を取得します。
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Google Provisioning は、Google Apps がホストするドメイン上の ユーザアカウントやニックネーム、グループ、そしてメーリングリストの 作成、取得、更新、削除を行うものです。
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Picasa Web Albums は、オンラインの写真共有アプリケーションです。
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Google Analytics は、訪問者統計アプリケーションです。
-
Google Blogger は、人気のあるインターネットプロバイダです。 "ボタンひとつで簡単に" 記事を配信できます。
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Google CodeSearch を使用すると、さまざまなプロジェクトが公開しているソースコードを検索できます。
-
Google Notebook は、メモ帳の内容を一般に公開できます。
サポートしていないサービス
Zend_Gdata には、これら以外の Google のサービス
(例えば検索、Gmail、翻訳、マップなど)
に対するインターフェイスは含まれていません。
Google Data API をサポートしているサービスにのみ対応しています。
Zend_Gata は、いくつかの型のクラスを組み合わせたものです。
-
サービスクラス - これは
Zend_Gdata_Appを継承したものです。Zend_GdataやZend_Gdata_Spreadsheetsといったその他のクラスもここに含まれます。 これらのクラスは APP や GData サービス とのやり取りを行うもので、 フィードを取得したりエントリを取得したり、 あるいはエントリを投稿したり更新したり削除したりといったことができます。 -
クエリクラス - これは
Zend_Gdata_Queryを継承したものです。 各サービス専用のクラス、たとえばZend_Gdata_Spreadsheets_ListQueryやZend_Gdata_Spreadsheets_CellQueryもここに含まれます。 クエリクラスは、GData サービスからデータを取得するためのクエリを作成するものです。setUpdatedMin()やsetStartIndex()、そしてgetPublishedMin()といったメソッドが存在します。 クエリクラスには、出来上がったクエリの URL を生成するためのメソッドgetQueryUrlもあります。 また、getQueryString()メソッドを使用すると、URL のクエリ文字列部分を取得できます。 -
フィードクラス - これは
Zend_Gdata_App_Feedを継承したものです。Zend_Gdata_FeedやZend_Gdata_Spreadsheets_SpreadsheetFeed、Zend_Gdata_Spreadsheets_ListFeedといったその他のクラスもここに含まれます。 これらのクラスはサービスから取得したエントリのフィードを表すものです。 サービスから返されたデータを取得するために使用します。 -
エントリクラス - これは
Zend_Gdata_App_Entryを継承したものです。Zend_Gdata_EntryやZend_Gdata_Spreadsheets_ListEntryといったその他のクラスもここに含まれます。 これらのクラスは、サービスから取得したエントリを表すものです。また、 サービスに送信するデータを作成するためにも用います。 エントリのプロパティの値(たとえばスプレッドシートのセルの値など) を設定できるだけでなく、このオブジェクトを使用して 既存エントリの更新や削除のリクエストを送信することもできます。 たとえば$entry->save()をコールすると、変更した内容を元のエントリに書き戻します。また$entry->delete()はそのエントリをサーバから削除します。 -
その他のデータモデルクラス - これは
Zend_Gdata_App_Extensionを継承したものです。ここには、Zend_Gdata_App_Extension_Title(atom:title XML 要素を表します) やZend_Gdata_Extension_When(GData Event "Kind" で使用する gd:when XML 要素を表します)、そしてZend_Gdata_Extension_Cell(Google Spreadsheets で使用する gs:cell XML 要素を表します) といったクラスが含まれます。 これらのクラスは、サービスから取得したデータを保存したり サービスに送信するデータを構築したりするために用いるものです。 プロパティへのアクセス用のメソッドが用意されています。たとえばsetText()はその要素の子テキストノードの内容を設定し、getText()はその要素のテキストノードの内容を取得します。 またgetStartTime()は When 要素の開始時刻属性を取得します。 そのほかにも同様のメソッドがあります。 データモデルクラスには、その他のメソッドもあります。getDOM()は、その要素とすべての子要素を DOM 形式で表したものを返し、transferFromDOM()は DOM ツリーをもとにしたデータモデルを作成します。
Google データサービスは、Atom Publishing Protocol (APP)
および Atom syndication format に基づいたサービスです。
Zend_Gdata コンポーネントを用いて APP や Google
サービスを扱うには、Zend_Gdata_App や Zend_Gdata
そして Zend_Gdata_Spreadsheets などのサービスクラスを使用する必要があります。
サービスクラスには、サービスからデータのフィードを取得したり
新しいエントリをフィードに挿入したり
既存のエントリを更新したり削除したりといったメソッドがあります。
注意: Zend_Gdata を用いた実際に動作するサンプルプログラムが
demos/Zend/Gdata ディレクトリにあります。
このサンプルはコマンドラインで動かすように作られていますが、
ウェブアプリケーション版にも簡単に書き換えられるでしょう。
Zend Framework の命名規約では、すべてのクラスは
その存在位置のディレクトリ構造に基づいた名前をつける必要があります。
たとえば Spreadsheets に関する拡張クラスは
Zend/Gdata/Spreadsheets/Extension/... 配下に置かれ、
その結果、クラス名は Zend_Gdata_Spreadsheets_Extension_...
となります。ということは、スプレッドシートのセル要素のインスタンスを作成しようとしたら、
恐ろしく長い名前をタイプすることになるということです!
ということで、すべてのサービスクラス
(Zend_Gdata_App、Zend_Gdata、Zend_Gdata_Spreadsheets など)
に特別なファクトリメソッドを用意するようにしました。
これを用いることで、データモデルやクエリ、
その他のクラスのインスタンスをより簡単に作成できるようになります。
このファクトリメソッドは、マジックメソッド
__call を用いて実装しています。このメソッドで、
$service->newXXX(arg1, arg2, ...) というコールをすべて処理しています。
XXX の値に基づいて、登録されているすべての 'パッケージ' からクラスを探します。
以下に例を示します。
$ss = new Zend_Gdata_Spreadsheets();
// Zend_Gdata_App_Spreadsheets_CellEntry を作成します
$entry = $ss->newCellEntry();
// Zend_Gdata_App_Spreadsheets_Extension_Cell を作成します
$cell = $ss->newCell();
$cell->setText('My cell value');
$cell->setRow('1');
$cell->setColumn('3');
$entry->cell = $cell;
// ... $entry を使用して、Google Spreadsheet の内容を更新します
継承ツリー内にある各サービス用クラス内で、 適切な 'パッケージ' (ディレクトリ) を登録します。 ファクトリメソッドは、これを使用してクラスを探します。
ほとんどの Google Data サービスは、
個人データへのアクセスやデータの保存、削除の前に
Google サーバに対する認証を要求します。
Google Data の認証用に提供される実装は
AuthSub および
ClientLogin
の二種類があります。
Zend_Gdata ではこれら両方の方式に対するインターフェイスを用意しています。
Google Data サービスに対するその他大半の問い合わせは、 認証を必要としません。
Zend_Gdata は
Zend_Http_Client
を用いてリクエストを google.com に送信し、結果を取得します。
ほとんどの Google Data リクエストに対する応答は
Zend_Gdata_App_Feed あるいは Zend_Gdata_App_Entry
クラスのサブクラスで返されます。
Zend_Gdata は、PHP アプリケーションの稼動しているホストが
インターネットに直接つながっていることを想定しています。
Zend_Gdata クライアントは Google Data サーバへの接続を行います。
Zend_Gdata_App クラス、Zend_Gdata クラス、
あるいはそのサブクラスのひとつのオブジェクトを作成します。
各サブクラスではサービス固有のヘルパーメソッドを提供します。
Zend_Gdata_App のコンストラクタに渡すオプションの引数は
Zend_Http_Client
のインスタンスです。このパラメータを渡さなかった場合は、
Zend_Gdata はデフォルトの Zend_Http_Client オブジェクトを作成します。
これには、プライベートフィードにアクセスするための認証データは設定されていません。
Zend_Http_Client オブジェクトを自分で指定すると、
クライアントオブジェクトに対する設定オプションを指定できます。
$client = new Zend_Http_Client(); $client->setConfig( ...オプション... ); $gdata = new Zend_Gdata($client);
Zend Framework 1.7 以降、プロトコルのバージョン管理のサポートが追加されました。
これにより、クライアントおよびサーバで新機能をサポートしつつ、
過去との互換性を保持できるようになります。
ほとんどのサービスはバージョン管理を自前で行う必要はありませんが、
Zend_Gdata のインスタンスを直接作成する場合 (サブクラスを使わない場合)
は、必要なプロトコルのバージョンを指定してサーバの機能にアクセスする必要があります。
$client = new Zend_Http_Client(); $client->setConfig( ...オプション... ); $gdata = new Zend_Gdata($client); $gdata->setMajorProtocolVersion(2); $gdata->setMinorProtocolVersion(null);
認証済みの Zend_Http_Client オブジェクトを作成する方法については、
認証のセクションも参照ください。
パラメータを指定することで、Zend_Gdata
での問い合わせをカスタマイズできます。
クエリのパラメータは、 Zend_Gdata_Query
のサブクラスを使用して指定します。
Zend_Gdata_Query クラスにはクエリパラメータを設定するメソッドが含まれ、
これを用いて GData サービスにアクセスします。
たとえば Spreadsheets のような個々のサービスでも
クエリクラスを用意しており、そのサービスやフィードに合わせた独自のパラメータを定義しています。
Spreadsheets の CellQuery クラスは Cell Feed
に対する問い合わせを行い、ListQuery クラスは
List Feed に対する問い合わせを行います。
それぞれのフィードに対して別々のパラメータを指定できます。
GData 全体で使用できるパラメータについて、
以下で説明します。
-
qパラメータはテキストのクエリ文字列を指定します。 パラメータの値は文字列となります。このパラメータを設定するには
setQuery()関数を使用します。 -
altパラメータはフィードの形式を指定します。 このパラメータにはatom、rss、json、 あるいはjson-in-scriptのいずれかを指定します。 このパラメータを指定しなかった場合、デフォルトのフィードの形式はatomとなります。 注意:Zend_Gdataで処理できるのは、 atom フィード形式の出力だけであることに注意しましょう。Zend_Http_Clientを使用するとその他の形式のフィードも取得できます。 その際は、Zend_Gdata_Queryクラスやそのサブクラスが作成したクエリ URL を使用します。このパラメータを設定するには
setAlt()関数を使用します。 -
maxResultsパラメータはフィード内のエントリ数を制限します。 整数値を指定します。返されるフィード内のエントリの数は、 この値を超えることはありません。このパラメータを設定するには
setMaxResults()関数を使用します。 -
startIndexパラメータは、 フィードで返される最初のエントリの番号を指定します。 それ以前の番号のエントリは読み飛ばされます。このパラメータを設定するには
setStartIndex()関数を使用します。 -
updatedMinパラメータおよびupdatedMaxパラメータは、エントリの日付の範囲を指定します。updatedMinを指定すると、 それより前に更新されたエントリはフィードに含まれません。 同様に、updatedMaxで指定した日付より後で更新されたエントリもフィードに含まれません。これらのパラメータには、タイムスタンプを表す数値を指定します。 あるいは 日付/時刻 を表す文字列を指定することもできます。
これらのパラメータを設定するには
setUpdatedMin()およびsetUpdatedMax()関数を使用します。
これらの set 関数に対応する
get 関数もあります。
$query = new Zend_Gdata_Query(); $query->setMaxResults(10); echo $query->getMaxResults(); // 10 を返します
Zend_Gdata クラスでは、
特別なゲッターメソッドおよびセッターメソッドも実装しています。
つまり、パラメータの名前をクラスの仮想的なメンバとして扱うことができます。
$query = new Zend_Gdata_Query(); $query->maxResults = 10; echo $query->maxResults; // 10 を返します
すべてのパラメータを消去するには resetParameters()
を使用します。複数のクエリで Zend_Gdata
を使いまわす場合などに便利です。
$query = new Zend_Gdata_Query(); $query->maxResults = 10; // ...フィードを取得します... $gdata->resetParameters(); // すべてのパラメータを消去します // ...別のフィードを取得します...
getFeed() を使用して、指定した URI からフィードを取得します。
この関数は、getFeed の二番目の引数で指定したクラスのインスタンスを返します。
このクラスのデフォルトは Zend_Gdata_Feed です。
$gdata = new Zend_Gdata();
$query = new Zend_Gdata_Query(
'http://www.blogger.com/feeds/blogID/posts/default');
$query->setMaxResults(10);
$feed = $gdata->getFeed($query);
この後の節で、各 Google Data サービス用のヘルパークラス固有の関数について説明します。これらの関数により、 対応するサービスにあわせた適切な URI からフィードを取得できるようになります。
多くのエントリが含まれるフィードを取得した場合、
そのフィードはいくつかの「ページ」に分かれていることがあるかもしれません。
そのような場合には、各ページには次のページへのリンクが含まれることになります。
このリンクにアクセスするには
getLink('next') を使用します。
この例は、フィードの次のページを取得する方法を示すものです。
function getNextPage($feed) {
$nextURL = $feed->getLink('next');
if ($nextURL !== null) {
return $gdata->getFeed($nextURL);
} else {
return null;
}
}
もしこのようにページに分かれているのが気に入らない場合は、
フィードの最初のページを
Zend_Gdata_App::retrieveAllEntriesForFeed()
に渡しましょう。そうすると、
すべてのエントリの内容をひとつのフィードにまとめてくれます。
この関数の使用法を、次の例で示します。
$gdata = new Zend_Gdata();
$query = new Zend_Gdata_Query(
'http://www.blogger.com/feeds/blogID/posts/default');
$feed = $gdata->retrieveAllEntriesForFeed($gdata->getFeed($query));
大きなフィードに対してこの関数をコールすると、
処理に時間がかかるということに注意しましょう。
set_time_limit()
で PHP の実行時間制限を拡大する必要があるかもしれません。
フィードを取得したら、次はそのデータを読み込んだり そこに含まれるエントリを読み込んだりする番です。 これには各データモデルクラスのアクセス用メソッドを使用するか、 あるいはマジックメソッドを使用します。以下に例を示します。
$client = Zend_Gdata_ClientLogin::getHttpClient($user, $pass, $service);
$gdata = new Zend_Gdata($client);
$query = new Zend_Gdata_Query(
'http://www.blogger.com/feeds/blogID/posts/default');
$query->setMaxResults(10);
$feed = $gdata->getFeed($query);
foreach ($feed as $entry) {
// マジックメソッドを使用します
echo 'Title: ' . $entry->title->text;
// 定義されているアクセス用メソッドを使用します
echo 'Content: ' . $entry->getContent()->getText();
}
エントリを取得したら、それを更新してサーバに保存できます。以下に例を示します。
$client = Zend_Gdata_ClientLogin::getHttpClient($user, $pass, $service);
$gdata = new Zend_Gdata($client);
$query = new Zend_Gdata_Query(
'http://www.blogger.com/feeds/blogID/posts/default');
$query->setMaxResults(10);
$feed = $gdata->getFeed($query);
foreach ($feed as $entry) {
// タイトルに 'NEW' を追加します
echo 'Old Title: ' . $entry->title->text;
$entry->title->text = $entry->title->text . ' NEW';
// エントリの内容を更新します
$newEntry = $entry->save();
echo 'New Title: ' . $newEntry->title->text;
}
Zend_Gdata オブジェクトの関数 insertEntry()
にアップロードしたいデータを指定し、
新しいエントリを Google Data サービスに保存します。
各サービス用のデータモデルクラスを使用して適切なエントリを作成し、
Google のサービスに投稿できます。
insertEntry() 関数には、
Zend_Gdata_App_Entry の子クラスに投稿内容を格納して渡します。
このメソッドは Zend_Gdata_App_Entry の子クラスを返します。
これは、サーバから返されたエントリの状態を表します。
もうひとつの方法として、そのエントリの内容を
XML 構造の文字列として作成して
insertEntry() 関数に渡すこともできます。
$gdata = new Zend_Gdata($authenticatedHttpClient);
$entry = $gdata->newEntry();
$entry->title = $gdata->newTitle('Playing football at the park');
$content =
$gdata->newContent('We will visit the park and play football');
$content->setType('text');
$entry->content = $content;
$entryResult = $gdata->insertEntry($entry,
'http://www.blogger.com/feeds/blogID/posts/default');
echo 'この結果のエントリの <id> は、' . $entryResult->id->text;
エントリを送信するには、認証済みの Zend_Http_Client
を使用する必要があります。これは、
Zend_Gdata_AuthSub クラスあるいは
Zend_Gdata_ClientLogin クラスを使用して作成します。
方法 1: Zend_Gdata オブジェクトの関数 delete()
に削除したいエントリを指定して、Google Data
サービスからデータを削除します。
フィードエントリの編集用 URL を
delete() メソッドに渡します。
方法 2: あるいは、Google サービスから取得したエントリに対して
$entry->delete() をコールすることもできます。
$gdata = new Zend_Gdata($authenticatedHttpClient);
// Google Data のフィード
$feedUri = ...;
$feed = $gdata->getFeed($feedUri);
foreach ($feed as $feedEntry) {
// 方法 1 - エントリを直接削除します
$feedEntry->delete();
// 方法 2 - 編集用 URL を $gdata->delete()
// に渡してエントリを削除します
// $gdata->delete($feedEntry->getEditLink()->href);
}
エントリを削除するには、認証済みの Zend_Http_Client
を使用する必要があります。これは、
Zend_Gdata_AuthSub クラスあるいは
Zend_Gdata_ClientLogin クラスを使用して作成します。