Zend FrameworkのMVCレイヤを使うときには、
Zend_View
を使うようになる機会があります。
Zend_View
は、
他のビューやテンプレートエンジンに比べて良く機能します。
ビュースクリプトはPHPで記述されているので、
PHPにカスタムで加えたコンパイルのオーバーヘッドを招きませんし、
コンパイルされたPHPが最適されていないかどうか心配する必要もありません。
しかしながら、Zend_View
には特有の問題があります:
エクステンションはオーバーロード経由で実行されます(ビューヘルパ)。
ビューヘルパの多くは重要な機能を担っていますが、
性能面でのコストもあります。
ほとんどのZend_View
の "メソッド" は、
実際ヘルパ方式でオーバーロード経由で提供されています。
これのおかげで Zend_View
に重要な柔軟性が与えられています;
Zend_View
を拡張してアプリケーションで利用するであろう、
すべてのヘルパメソッドを提供する必要の代わりに、
分離されたクラスにヘルパメソッドを定義して、
まるで Zend_View
そのもののメソッドであるかのように使い切ることができます。
このおかげでビューオブジェクト自身は比較的身軽に保たれ、
オブジェクトが必要なときだけ生成されることが保証されます。
内部的には、
Zend_View
はヘルパクラスを探すために
プラグインローダーを使います。
これはヘルパを呼び出すたびにZend_View
がプラグインローダーに
ヘルパ名を渡す必要があることを意味しています。
プラグインローダーはそれからクラス名を決定し、
必要に応じてクラスファイルを読み込み、
さらにインスタンス化されるかもしれないクラス名を返します。
読み込まれたヘルパをZend_View
が内部のレジストリに保持するので、
その次にヘルパを使うときにはより速くなります。
ただし、多くのヘルパを使うと呼び出しは増加します。
それでは質問です: どのようにしたらヘルパの解決を速くできますか?
最も簡単で安く済む方法は プラグインのパフォーマンスの向上と同じです: プラグインローダーは includeファイルキャッシュを使います。 不確かな証拠によれば、 この技術のおかげでopcodeキャッシュがないシステム上では25から30%の、 opcodeキャッシュがあるシステム上では40から65%の利得があるそうです。
さらにもっと性能を調整することを探求する他の方法は、
アプリケーションで最も使うヘルパメソッドを手動でZend_View
に付加して拡張することです。
そのようなヘルパは簡単に適切なヘルパクラスを手動でインスタンス化して、
その代わりとなり、
あるいはメソッドに完全なヘルパ実装を詰め込みます。
class My_View extends Zend_View { /** * @var array 使われたヘルパクラスのレジストリ */ protected $_localHelperObjects = array(); /** * urlビューヘルパの代替 * * @param array $urlOptions ルートオブジェクトを組み立てるメソッドへ渡されるオプション * @param mixed $name 使用するルート名. nullの場合は現行ルートを使う。 * @param bool $reset それら提供されるデフォルトルートをリセットするか否か * @return string linkのhref属性のためのUrl */ public function url(array $urlOptions = array(), $name = null, $reset = false, $encode = true ) { if (!array_key_exists('url', $this->_localHelperObjects)) { $this->_localHelperObjects['url'] = new Zend_View_Helper_Url(); $this->_localHelperObjects['url']->setView($this); } $helper = $this->_localHelperObjects['url']; return $helper->url($urlOptions, $name, $reset, $encode); } /** * メッセージを返す * * 直接実装 * * @param string $string * @return string */ public function message($string) { return "<h1>" . $this->escape($message) . "</h1>\n"; } }
この技術はプラグインローダーの呼び出しを完全に避けたり、 オートローディングの恩恵を受けたり、 あるいはまったくそれを迂回したり、 いずれかの方法でヘルパシステムのオーバーヘッドを十分に減らすでしょう。
部分的に頻繁に利用したり、アプリケーションのプロファイルを実行したりする人は、
しばしばすぐにビューオブジェクトのクローンを必要とすることになっている、
partial()
ビューヘルパがオーバーヘッドの大部分を占めていることに気付くでしょう。
これを速度向上させられるでしょうか?
partial()
ビューヘルパには3つの引数があります:
-
$name
: レンダリングするビュースクリプトの名前 -
$module
: 表示スクリプトが位置するモジュールの名前; または3番目の引数が渡されない場合、配列またはオブジェクトで、$model
引数 -
$model
: ビューにアサインする純粋なデータを示す部分に渡す配列またはオブジェクト
partial()
の威力や使い道は2番目と3番目の引数に依存します。
$module
引数のおかげで
partialビュースクリプトがモジュールを解決するために、
与えられたモジュールに partial()
が一時的にスクリプトパスを追加できる。;
$model
引数のおかげでpartialビューを使うために引数を明示的に渡すことができます。
もしどちらの引数も渡さないのならば、
替わりに render()
を使ってください!
基本的に、あなたが実際に変数をその部分に渡して、純粋な変数の範囲を必要とするか、
または他のMVCモジュールからビュースクリプトをレンダリングするまで、
partial()
のオーバーヘッドを受け入れる理由がありません。;
その代わり、ビュースクリプトをレンダリングするために、
Zend_View
組込みのrender()
メソッドを使ってください。
バージョン1.5.0で action()
ビューヘルパが導入されました。
それによりMVCのアクションをディスパッチして、
レンダリングされたコンテンツを入手できるようになります。
これはDRY原則に向かう重要なステップで、コードの再利用を促します。
しかしながら、アプリケーションをプロファイルする人がすぐ実感するように、
これも高くつく操作です。
内部的に、action()
ビューヘルパでは新しいリクエスト及びレスポンスオブジェクトを複製して、
ディスパッチャを呼び出し、求められたコントローラとアクションなどを呼び出す必要があります。
どうしたら速くできるでしょう?
action()
ビューヘルパと同時期に導入されましたが、
アクションスタック
はアクションヘルパとフロントコントローラプラグインから成り立ちます。
共に、それらのおかげでディスパッチサイクルの間に呼び出すべき、
追加のアクションをスタックに押し込むことができます。
もしレイアウトビュースクリプトから action()
を呼び出しているなら、
アクションスタックを使うかわりに、
ディスクリートなレスポンスセグメントにビューをレンダリングしたいかもしれません。
例えば、各画面にログインフォームの枠を付け加える下記の様な
dispatchLoopStartup()
プラグインを書けるでしょう。:
class LoginPlugin extends Zend_Controller_Plugin_Abstract { protected $_stack; public function dispatchLoopStartup( Zend_Controller_Request_Abstract $request ) { $stack = $this->getStack(); $loginRequest = new Zend_Controller_Request_Simple(); $loginRequest->setControllerName('user') ->setActionName('index') ->setParam('responseSegment', 'login'); $stack->pushStack($loginRequest); } public function getStack() { if (null === $this->_stack) { $front = Zend_Controller_Front::getInstance(); if (!$front->hasPlugin('Zend_Controller_Plugin_ActionStack')) { $stack = new Zend_Controller_Plugin_ActionStack(); $front->registerPlugin($stack); } else { $stack = $front->getPlugin('ActionStack') } $this->_stack = $stack; } return $this->_stack; } }
それから UserController::indexAction()
メソッドは
レンダリングするのがどのレスポンスセグメントかを示す $responseSegment
パラメータを使うかもしれません。
レイアウトスクリプトでそのレスポンスセグメントを単純にレンダリングするでしょう。
<?php $this->layout()->login ?>
アクションスタックがまだディスパッチサイクルを必要とするのに対して、
オブジェクトを複製して内部状態をリセットする必要がないので、
action()
ビューヘルパよりもっと安くつきます。
さらに、それはすべてのプレディスパッチ、
またはポストディスパッチのプラグインが呼び出されることを保証します。
それは、特別なアクションのためにACLを処理するフロントコントローラプラグインをもし使っているなら、
特別に関心があることかもしれません。
ほとんどの場合、action()
を使うのは過剰です。
もしモデルの中に業務ロジックをはなはだしく折り重ねていて、
モデルに単純に問い合わせて、ビュースクリプトに結果を渡すなら、
モデルを引き出してきて問合せを行い、
その情報で何かを行うビューヘルパを単純に書くことが、
一般的により速くて誤りがないでしょう。
ひとつの例として、下記のようなコントローラーアクションと ビュースクリプトを考えてみましょう:
class BugController extends Zend_Controller_Action { public function listAction() { $model = new Bug(); $this->view->bugs = $model->fetchActive(); } } // bug/list.phtml: echo "<ul>\n"; foreach ($this->bugs as $bug) { printf("<li><b>%s</b>: %s</li>\n", $this->escape($bug->id), $this->escape($bug->summary) ); } echo "</ul>\n";
それから action()
を使って、
下記のようにして呼び出すでしょう:
<?php $this->action('list', 'bug') ?>
これは下記のように見えるビューヘルパにリファクタリングできるでしょう。:
class My_View_Helper_BugList extends Zend_View_Helper_Abstract { public function bugList() { $model = new Bug(); $html = "<ul>\n"; foreach ($model->fetchActive() as $bug) { $html .= sprintf( "<li><b>%s</b>: %s</li>\n", $this->view->escape($bug->id), $this->view->escape($bug->summary) ); } $html .= "</ul>\n"; return $html; } }
それからヘルパを下記のように呼び出すでしょう:
<?php $this->bugList() ?>
これには2つの利点があります:
それはもはや action()
ビューヘルパのオーバーヘッドを受けず、
より意味的に理解できるAPIも表現します。